投資信託を長く持ち続ける意味とは? 2027年から始まる新たなNISAの活用を考える
資産形成というと、「毎月いくら貯金すればよいのか」「どの商品を買えばよいのか」といったことに目が向きがちです。
もちろん、毎月の積立額や投資する商品の選択は大切です。しかし、長期的な資産形成を考えるうえで、もう一つ忘れてはいけない要素があります。
それが、時間を味方につけることです。
投資では、運用で得た利益を再び運用に回すことで、利益が新たな利益を生む「複利」の効果が期待できます。そして、運用期間が長くなるほど、その効果が資産形成に影響する可能性があります。
さらに、2027年1月からはNISAのつみたて投資枠の年齢要件が撤廃され、0歳から17歳までの子どもも利用できるようになります。
子どもの将来のために、早い時期から資産形成を考える選択肢が広がるのです。
今回は、複利の力、長期投資、投資信託、そしてNISAの制度変更について、資産形成の視点から考えていきます。
1.複利とは何か? 資産形成を支える仕組み
複利とは、運用によって得た利益を元本に加え、その後も運用を続けることで、利益にも利益が生まれる仕組みです。
例えば、100万円を年率5%で運用できたと仮定します。
1年後には、100万円に5万円の利益が加わり、105万円になります。
その105万円をさらに同じ利回りで運用できた場合、2年目の利益は約5万2,500円です。
最初の100万円だけでなく、前年に得た利益も運用の対象になるため、時間の経過とともに資産が増える効果が期待できます。
単利と複利の違い
| 項目 | 単利 | 複利 |
|---|---|---|
| 利益の扱い | 元本に対して利益を計算 | 利益も含めて運用 |
| 利益の増え方 | 同じ利回りなら毎年ほぼ一定 | 運用成果に応じて変化 |
| 長期運用 | 元本に対する利益が中心 | 利益が再び利益を生む効果が期待できる |
複利の特徴は、短期間では効果が目立ちにくくても、長い時間をかけることで差が広がる可能性があることです。
ただし、これは一定の利回りで運用できた場合の考え方です。実際の投資では、毎年同じ利益が得られるわけではなく、損失が発生することもあります。
複利は利益を保証する仕組みではありませんが、長期的な資産形成を考えるうえで知っておきたい重要な考え方です。
2.長期投資は「時間」を味方につける方法
資産形成では、投資を始める時期も重要な要素になります。
同じ金額を積み立てる場合でも、運用期間が長ければ、複利の効果を得られる機会が増えるからです。
例えば、毎月1万円を積み立てるとします。
- 10年間の積立元本:120万円
- 20年間の積立元本:240万円
- 30年間の積立元本:360万円
積立期間が長くなるほど、投資に回す元本そのものも増えていきます。
さらに、運用で得られた利益を再投資できれば、資産が成長する可能性も広がります。
もちろん、長く投資すれば必ず利益が出るわけではありません。投資を始める時期や売却する時期、投資対象の値動きによって、結果は変わります。
それでも、長期投資には、短期間で大きな利益を得ようとするのではなく、時間をかけて資産形成に取り組めるという利点があります。
長期投資で大切な3つの視点
- 早く始めること
無理のない金額で始めれば、長い運用期間を確保しやすくなります。 - 積立を継続すること
毎月一定額を積み立てる方法は、購入時期を分散する手段の一つです。ただし、損失を防いだり、利益を保証したりするものではありません。 - 短期的な値動きだけで判断しないこと
株式市場は上昇する時期もあれば、下落する時期もあります。日々の値動きだけでなく、資産形成の目的や必要な時期を意識することが大切です。
長期投資は、ただ長く保有すればよいというものではありません。目的に合った商品を選び、リスクを理解しながら継続することが重要です。
3.投資信託は長期の資産形成にどう役立つのか
長期投資を始める際の選択肢の一つが、投資信託です。
投資信託は、多くの投資家から集めた資金をまとめ、運用会社が株式や債券などに投資する金融商品です。
商品によって投資先や運用方針は異なりますが、複数の銘柄や地域に分散して投資するタイプもあります。
投資信託を活用するメリット
① 少額から積立投資を始めやすい
金融機関や商品によって条件は異なりますが、少額から購入できる投資信託も多くあります。まとまった資金がなくても、家計に合わせて資産形成を始めやすいことが特徴です。
② 分散投資を取り入れやすい
幅広い銘柄や地域に投資する投資信託を選べば、個別の企業だけに投資する場合と比べて、投資先を分散しやすくなります。
ただし、分散していても市場全体が下落すれば損失が発生する可能性があります。
③ 積立投資を継続しやすい
毎月一定額を自動的に積み立てる設定ができる商品・金融機関もあります。日々の相場を見ながら購入のタイミングを判断する負担を減らし、長期的な資産形成に取り組みやすくなります。
投資信託なら何でもよいわけではない
投資信託を選ぶ際は、次の点を確認しましょう。
- どの地域・資産に投資する商品なのか
- どの程度の価格変動リスクがあるのか
- 信託報酬などの費用はいくらか
- 自分の運用目的や運用期間に合っているか
大切なのは、人気のある商品を選ぶことだけではありません。自分が理解できる商品を選び、値下がりした場合にも生活に支障が出ない範囲で投資することです。
4.NISAを活用すると、運用益が非課税になる
長期の資産形成を支える制度として、NISAがあります。
NISAは、一定の投資で得られた売却益や配当・分配金などが、制度の条件に従って非課税になる制度です。
通常、課税口座で上場株式等の売却益や配当等に税金がかかる場合、税率は原則20.315%です。一方、NISA口座内の対象となる利益は非課税になります。
例えば、対象となる投資で10万円の利益が出た場合、課税口座では通常約2万315円の税金がかかりますが、NISA口座ではその利益が非課税となります。
この違いは、長期的に資産形成を続けるうえで重要なポイントです。
2024年からのNISAの主な特徴
- つみたて投資枠と成長投資枠を併用できる
- 年間投資枠は、つみたて投資枠が120万円、成長投資枠が240万円
- 非課税保有限度額は合計1,800万円
- 非課税保有期間は無期限
- 制度が恒久化され、長期的な資産形成に利用しやすい
ただし、NISAは税制上の優遇制度であり、投資そのもののリスクをなくす制度ではありません。投資した商品が値下がりすれば、元本割れする可能性があります。
また、NISA口座で発生した損失は、原則として課税口座の利益との損益通算や繰越控除ができません。
制度のメリットだけでなく、こうした注意点も理解して利用することが大切です。
5.2027年1月からNISAの年齢要件が撤廃される
今回、注目したいのがNISAの年齢要件の変更です。
2027年1月から、つみたて投資枠の年齢要件が撤廃され、0歳から17歳までの子どももNISAを利用できるようになります。
これまでのNISAは、原則として18歳以上が対象でした。2027年からは、子どもの将来に向けて、より早い時期から長期の積立投資を検討できるようになります。
18歳未満のNISA利用に関する主なポイント
| 項目 | 2027年からの未成年者向け枠 |
|---|---|
| 対象年齢 | 0~17歳 |
| 利用できる枠 | つみたて投資枠 |
| 年間投資枠 | 60万円 |
| 非課税保有限度額 | 600万円 |
| 投資対象 | 長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託 |
※上記は2027年からの未成年者向け制度の概要です。成長投資枠は利用できず、口座の金融機関変更にも制限があります。実際の利用条件は、金融庁や金融機関の最新案内で確認しましょう。
この変更によって、子どもが小さいうちから、教育費や成人後の生活資金などを長期的な視点で準備する選択肢が広がります。
ただし、制度が利用できるようになったからといって、必ず投資をしなければならないわけではありません。
教育費など、必要な時期が決まっている資金については、使う時期に合わせて安全性や流動性も考える必要があります。
6.子どもの頃から始めると、時間を活用しやすい
例えば、子どもが生まれた頃から毎月1万円を積み立て、18歳まで続けるケースを考えてみます。
18年間の積立元本は、次のとおりです。
1万円 × 12か月 × 18年間 = 216万円
これに運用益が加われば、最終的な資産額は216万円を上回る可能性があります。
仮に年率5%で毎月末に積み立て、月次複利で運用できたとすると、18年後の資産額は約349万円になります。
この場合、積立元本216万円に対し、運用益は約133万円です。
ただし、これは毎年一定の利回りで運用できたと仮定した試算です。実際の投資では利回りは変動し、元本割れすることもあります。税金・手数料等も考慮していない概算であり、将来の運用成果を示すものではありません。
ここで伝えたいのは、「年率5%で運用すれば必ず349万円になる」ということではありません。
早い時期から始めると、運用に使える時間を長く確保できるという点です。
子どもが小さいうちから準備を始めることは、将来の選択肢を増やすための一つの方法になります。
7.子どもの資産形成は、親の家計とのバランスが大切
子どものための資産形成を考える際、忘れてはいけないことがあります。
それは、親自身の家計や老後資金とのバランスです。
子どもの教育費や将来資金を準備したいという気持ちは自然なものです。しかし、家計に余裕がない状態で無理に積立額を増やすと、急な出費に対応できなくなる可能性があります。
資産形成を始める前に、次の順番で考えてみましょう。
- 毎月の収入と支出を確認する
- 生活費や緊急時に備える預貯金を確保する
- 住宅費、教育費など近い将来に必要な資金を見積もる
- 家計に無理のない範囲で長期投資を検討する
- 子どもの資金と親自身の老後資金を分けて管理する
投資は、生活に必要なお金をすべて回して行うものではありません。
特に、数年以内に使う予定の教育費などは、投資信託の価格が下落したタイミングで必要になる可能性もあります。必要な時期が近づいた資金については、値動きのある資産に偏りすぎないように考えることが大切です。
また、未成年者向けNISAでは資金の払い出しに制限があります。制度の仕組みを理解し、将来いつ、何のために使う資金なのかを家族で話し合っておきましょう。
8.複利の力は、子どもだけでなく大人の資産形成にも役立つ
NISAの年齢要件撤廃は、子どもの資産形成に注目が集まる制度変更です。
しかし、複利の力や長期投資の考え方は、子どもだけに関係するものではありません。
20代で始める人も、40代で始める人も、50代で老後資金を考える人も、それぞれの状況に合った資産形成を考えることができます。
大切なのは、年齢だけで判断することではありません。
- 何のために資産を準備するのか
- いつまで運用できるのか
- 毎月いくらなら無理なく続けられるのか
- どの程度の値下がりなら受け入れられるのか
- いつから資産を取り崩す必要があるのか
これらを整理することで、自分に合った資産形成の方法が見えてきます。
例えば、50代で老後資金を準備する場合、子どもと同じように長い期間を前提とすることはできないかもしれません。退職時期や年金の受給開始時期、生活費などを踏まえ、預貯金と投資のバランスを考える必要があります。
長期投資は、誰にでも同じ方法が適しているわけではありません。
複利の力を活かすためにも、自分の人生設計に合った運用期間と積立額を考えることが大切です。
9.資産形成で大切なのは、制度を知り、無理なく続けること
複利、長期投資、投資信託、NISA。
それぞれは別々の言葉ですが、資産形成という視点で考えると、つながりがあります。
投資信託などを利用して積立投資を行い、得られた利益を再投資する。NISAを利用できる場合は、制度の範囲内で運用益の非課税メリットを活用する。そして、生活に無理のない範囲で長期的に継続する。
こうした考え方が、将来に向けた資産形成の土台になります。
2027年からは、0歳から17歳までの子どもにもNISAのつみたて投資枠が開かれます。早い時期から資産形成を考えられることは、一つの大きな変化です。
一方で、投資にはリスクがあります。早く始めることや長く続けることだけで、必ず資産が増えるわけではありません。
だからこそ、制度の仕組みを知ること、家計を整えること、目的に合った商品を選ぶことが大切です。
まとめ|時間を味方につけ、将来の選択肢を増やす
資産形成において、複利の力は大切な考え方の一つです。
運用で得た利益を再び運用に回すことで、利益が新たな利益を生む効果が期待できます。そして、長期投資は、その効果を活用する機会を増やす方法の一つです。
2027年1月からのNISAの年齢要件撤廃によって、子どもが小さいうちから長期的な資産形成を検討できるようになります。
ただし、制度を利用すること自体が目的ではありません。
子どもの将来、住宅の購入、教育費、老後の生活など、資産を準備する目的は人それぞれです。
まずは自分や家族のライフプランを考え、必要な時期と金額を整理する。そのうえで、預貯金と投資の役割を分け、無理なく続けられる方法を選ぶことが重要です。
資産形成は、短期間で大きく増やすことだけを目指すものではありません。時間を味方につけ、将来の選択肢を少しずつ増やしていく取り組みです。
制度を上手に理解し、自分や家族に合った資産形成を考えていきましょう。
参考情報
- 金融庁「NISAを知る」
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/know/index.html - 金融庁「NISAに関するよくある質問」
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/question/index.html
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品への投資を推奨するものではありません。投資信託には価格変動リスク等があり、元本割れする可能性があります。制度の詳細は最新の公的情報をご確認ください。

コメント