受給額・働き方・資産形成をセットで考える(AFP視点)
老後の生活設計を考えるうえで、最も重要な収入の柱が公的年金です。特に夫婦二人世帯では、「それぞれいくら年金を受け取れるのか」「生活費は足りるのか」を正確に把握することが老後不安の解消につながります。
本記事では、AFP(アフィリエイテッド・ファイナンシャル・プランナー)の視点から、夫婦二人の年金制度の基本と、老後を安定させるための考え方を解説します。
1. 公的年金制度の基本構造
日本の公的年金は、大きく分けて次の2階建て構造です。
- 国民年金(基礎年金)
- 厚生年金
● 国民年金(基礎年金)
20歳以上60歳未満のすべての人が加入対象です。満額受給の場合、1人あたり月約6.6万円程度(年度により変動)となります。
● 厚生年金
会社員や公務員が加入する年金で、給与や加入期間に応じて受給額が変わります。
2. 夫婦二人の年金モデルケース
● 共働き夫婦(ともに厚生年金)
夫婦それぞれが厚生年金に加入していた場合、老後の年金額は比較的安定します。
- 夫:月15~18万円
- 妻:月10~15万円
- 合計:月25~33万円程度
このケースでは、生活費次第で年金のみでも生活可能な家庭もあります。
● 片働き夫婦(夫:厚生年金/妻:国民年金)
- 夫:月14~18万円
- 妻:月6~7万円
- 合計:月20~25万円程度
多くの家庭がこのパターンに該当し、老後資金の準備が重要になります。
3. 年金だけで夫婦二人は生活できるのか?
総務省の家計調査をもとにした老後生活費の目安は次の通りです。
- 最低限の生活:月22~23万円
- ゆとりある生活:月28~35万円
年金収入が生活費を下回る場合、次のいずれかが必要になります。
- 貯蓄・資産の取り崩し
- 副収入・継続就労
- 支出(固定費)の見直し
4. 夫婦で考える年金受給の戦略
● 繰り上げ受給(60歳〜)
早く受け取れる反面、一生減額されるため慎重な判断が必要です。
● 繰り下げ受給(66〜75歳)
1か月繰り下げるごとに年金額は増加し、70歳で最大42%増となります。
夫婦のどちらかを繰り下げることで、老後後半の収入を安定させる戦略も有効です。
5. 年金+αが夫婦の老後を安定させる
● 資産形成(NISA・iDeCo)
年金だけに頼らず、非課税制度を活用して資産を準備しておくことが重要です。
● 固定費の見直し
- 生命保険・医療保険
- 通信費
- 車の保有コスト
- 住宅ローン・家賃
固定費を月3万円下げるだけで、老後の必要資金は大きく変わります。
● 夫婦での軽い就労・副収入
月数万円の収入でも、資産寿命を大きく延ばす効果があります。
6. AFPが考える「夫婦二人の老後対策」
- 夫婦それぞれの年金見込額を確認する
- 老後の生活費を具体的に算出する
- 不足額を「資産・収入・支出」で補う
- 年金受給開始年齢を戦略的に決める
- 定期的にライフプランを見直す
まとめ:夫婦二人の老後は「年金を知ること」から始まる
老後不安の多くは、「知らないこと」から生まれます。
- 年金はいくらもらえるのか
- いつから受け取るのが良いのか
- 年金だけで足りるのか
これらを夫婦で共有し、早めに準備することが、安心した老後生活への第一歩です。
年金+資産形成+支出コントロールを組み合わせることで、夫婦二人の老後は十分に安定させることができます。

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