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2024年8月24日の記事から
日本経済新聞に記事で遺族厚生年金の改革の議論が紹介されています。
会社員などが亡くなった場合、残された家族の生活を保障する遺族厚生年金の仕組みが大きく変わる見通しだ。現在は夫を亡くした妻の保障が、妻を亡くした夫に比べ大幅に手厚い。厚生労働省は男女とも受給期間を5年として格差を是正することなどを盛り込んだ案を示した。ただ改正案には誤解も多く、正確な理解が重要だ。
遺族年金は子がある場合に配偶者や子を対象に子が18歳になる年度末まで支給する定額の遺族基礎年金と、会社員が死亡した場合などに収入などに応じて支給する遺族厚生年金がある。今回の改正は主に遺族厚生年金が対象だ。
これまでの制度では、夫が亡くなったとき子がいない妻の遺族厚生年金は年齢的に就業や再婚などをしやすいとの見方があった30歳未満なら5年間の受給だが、就業などが簡単ではないともみられていた30歳以上は生涯受給だ。一方、夫は妻の死亡時に55歳以上でないと受給権はなく、55歳以上でも実際の受給は60歳からだ。夫が働いて家族を支える「昭和の家計」を前提にしていたといえる。
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厚労省は7月末の社会保障審議会(厚労相の諮問機関)で、30歳以上で夫を亡くした妻の受給期間も5年間とし、妻を亡くした夫は55歳未満でも5年受給できる案を示した。
夫を亡くした妻が40歳から65歳未満まで一定条件で受給できる中高齢寡婦加算も新たに受給し始める人から段階的に減らし、将来は廃止する。審議会では多くの委員が賛同し、年末の年金制度改正法案の取りまとめに向けてこの方向で議論が進む公算が大きい。
改正案の報道後、SNSなどを中心に「多くの女性が困窮する」といった批判や不安が広がったが、4つの誤解がある。制度改正に備えるためにも、まずは改正案を正確に把握したい。
誤解の1つめは現在の高齢者も対象になるというもの。しかしすでに遺族年金をもらっている人や60歳以上で配偶者と死別した人は、これまで通り遺族厚生年金を生涯受給できる。
2つめは子育て世帯の遺族厚生年金がすべて5年間になるというもの。子育て中の配偶者の遺族厚生年金は5年になるが、子が18歳の年度末まで子に遺族厚生年金を支給する現在のルールが適用される。世帯ベースでは、子が18歳まで現状と変わらず受給できる。
ただ子が18歳を過ぎれば、夫が亡くなった時期から5年後に遺族厚生年金は受け取れなくなる。原則として無期給付である現在より短縮されやすく、大学費用などが困らないように準備が必要だ。
3つめは受給期間を5年とする措置をすぐに導入するというもの。この点は男女で異なる。まず妻が死亡した夫の場合。現在は妻の死亡時に夫は55歳以上でないと受給権がないが、改正の施行と同時に、55歳未満でも遺族厚生年金を受給できるようになる。
夫を亡くした妻の場合は施行から20年程度かけて段階的に適用する。現在は夫の死亡時に30歳未満なら5年間の受給だが、この年齢を例えば施行時に40歳未満とし、その後も段階的に上げていく。施行から20年程度の時点で、60歳未満の妻は5年の有期になる。
女性の就業率は若い世代になるほど高まる傾向があり、男女の賃金格差も40歳未満では20%程度に縮小、20代では5%弱だ。女性が男性に近い賃金で働ける状況が進んでいくのと並行して、遺族厚生年金の有期化や中高齢寡婦加算の縮小・廃止を進める。
誤解の4つめは給付が厳しくなるだけの改革だということ。有期化で全体的には受給期間が短くなるため、3つの「配慮措置」も検討されている。
まずは「死亡時分割」という新たな仕組みの導入。婚姻期間中の厚生年金加入実績を基に、残された配偶者の65歳以降の老齢厚生年金に上乗せする。上乗せ後の金額には上限があり、夫婦の老齢厚生年金の合計の2分の1までだ。5年の有期化の対象者向けで、終身で受給でき、再婚しても受給権は消えない。
将来は遺族厚生年金が夫の死亡時に60歳なら生涯受給、59歳なら5年間と差が出るが、婚姻期間が長ければ死亡時分割による老齢年金の上乗せ効果が大きく、有期化の影響を補えそうだ。
次に配偶者の収入要件。現在は年収850万円未満でないと受給できないが、5年受給ではこの条件を撤廃し受給しやすくする。
5年間の受給期間の金額も現在の遺族厚生年金に比べて増やす。遺族厚生年金の額は亡くなった人の老齢厚生年金の4分の3となっているが、5年の受給期間中は加算し、亡くなった人の老齢厚生年金と同額にする。
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5年への有期化で受給が減る人が出る一方、こうした増額措置で受給増となる人もいるため、厚労省では「年金財政全体の支出の増減は読みづらい」とみている。
ただし若い世代の女性が有期化の影響を受けることは確実だ。就業率や賃金の男女格差は縮小が見込まれるが、それは全体像。重要なのは自分の状況だ。夫の遺族年金だけに頼らずにすむ、安定した収入基盤を作ることがこれまで以上に重要になる。女性がより働きやすくなるよう、男性の家事協力の必要性も高まりそうだ。
自分や家族の体調など様々な要因で十分に働けない人が、遺族厚生年金の有期化で困るケースが出る可能性も残る。そうした状況に対し部分的に救済策を考える必要があるかなど、来年の法改正に向け議論が続く可能性はある。(2024年8月24日日経新聞から引用)
年金制度の複雑さ
年金制度は、大きく分けて基礎年金と厚生年金になります。基礎年金は国民年金で保険料を払っています。厚生年金は、サラリーマンなどが加入している年金制度です。支給される年金の名称が変わるため自分が今支給されている年金と変わることを危惧されます。そして、男性と女性でも制度が変わっていきます。それは、制度のベースが男性が働いて女性が専業主婦で家を守ることになっています。
年金制度の基本
年金制度は働き方によって保険料の払い方が違います。
①国民年金
国民年金は全ての国民がはらっています。払っている保険料から現在受給されている年金を払うシステムになっています。
②厚生年金
厚生年金はサラリーマンが中心に保険料を払っています。年金のベースは、生涯賃金がベースになっています。厚生年金の受給額を増やすには、収入を増やす必要があります。現役世代の収入を増やすか働く期間を増やしていくかがポイントになります。
年金制度は今払っている現役世代が、年金受給者が受け取る制度になっています。そして、払って保険料は3種類に分けられます。国民年金は65歳以上の方が受けられる老齢基礎年金、配偶者はなくなり18歳以下の子供がいる家計に払われる遺族基礎年金、障害者が払われる障害基礎年金です。同じように厚生年金も同じで、65歳以上が受けられる老齢厚生年金、配偶者が亡くなる受けられる遺族厚生年金、そして、障害者が受けられる障害厚生年金になります。
今回の議論は遺族厚生年金です。この制度のベースは、配偶者への払われる厚生年金が基本になっています。国民年金は18歳以下の子供が中心になっており、制度によって違うため複雑化になっています。男性と女性でも制度が違います。
問題点は何か
夫婦になっていれば、死別するか離婚するかいつか別れる時期が来ます。その時の年齢によって自分がどの制度が適用されていくかを確認する必要があります。若い時には、厚い保証がありますが実際にその金額で生活が出来るかが個人によって変わります。実は、問題の基本は年金が受給されてからです。特に今の50歳前後の第二次ベビーブームの世代は、配偶者が亡くなった時の年金額を計算をしていく必要があります。マイナポータブルや年金定期便で確認ができます。確認できると自分たちの年金の状況がわかります。多くの方は今の収入よりも足りなくなります。その分を補填できる様に準備をする必要があります。
今年は5年に一回の年金制度が変わる年です。表面的なことではなく自分にとってどの様に関係されるのか確認していきましょう。
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